2023年1月の新刊
『さわっても いい?』
はまのゆか・作
「4さいからのいのちのおはなしえほん」第2弾 じぶんをたいせつにする絵本です
えっちゃんは、たっくんのほっぺを
つんつん、つんつん、とさわります。
でも、たっくん、だんだんいやなきもちになってきました。
たっくん「やめて」って言えるかな?
ちいさな子どもの遊びの中での出来事です。
主人公・たっくんはいとこのお姉さん・えちゃんから、ふざけてほっぺたを触られます。
えっちゃんは、たっくんをかわいいと思っての遊びの延長でした。でも、たっくんは嫌な思いをします。
そうした時に、きちんと「いやだ」と伝えることができ、また「いやだ」と言われた方も、自分が遊びの延長だと思っていても、相手にとって嫌なことはやってはいけないことなのだということを伝えます。
自分のからだは、たいせつな自分だけのものということを伝えます。
見返しでは、「プライベートゾーン」などの言葉やあぶないことにあったときにどう対処したらよいかを紹介しています。
[著者略歴]
はまのゆか
1979 年生まれ。
大阪府出身・東京在住 京都精華大学卒業。二児の母。
大学在学中より村上龍の著書イラストを多数担当し、『13 歳のハローワーク』(村上龍・著 幻冬舎)は、ミリオンセラーとなる。
イラストを担当した作品『ママが10 にん!?』(天野慶・文 ほるぷ出版)は、第10 回ようちえん絵本大賞を受賞。
主な著作に、『すくすくいのち』(めくるむ)『まめちゃんとまじょ』(教育画劇)『きょうなにしてた?』『九九をとなえる王子さま』(以上あかね書房)『だんじりまつり』(ポプラ社)『いわたくんちのおばあちゃん』(天野夏美・作 主婦の友社)他多数がある。
本体価格|1800円+税 |
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判型|A4変型判(縦240ミリ×横210ミリ) |
ページ数|32ページ |
オールカラー |
著者からのメッセージ
『すくすく いのち』の監修でもお世話になりました佐々木裕子先生が、私の子どももいた保育園の4歳児クラスの子どもたちにお話くださいました「いのちのおはなし会」に「プライベートゾーン」の話もありました。
その「プライベートゾーン」の話をふまえ、子ども達に自分のからだは自分のもの。そして、みんなひとりひとり同じように大切なんだよ、ということを伝えるために作ったお話です。
プライベートゾーンは、いのちに関わるとても重要な場所なので、子どもたちに覚えておいてほしい場所ですが、お話の中にはでてきません。
なぜかというと、からだのどの部分であれ、大切な場所だと思ったからです。
えっちゃんは、たっくんのほっぺを勝手につんつんしはじめ、その行為は、どんどんエスカレートしていきます。
えっちゃんは、楽しくたっくんのほっぺをさわっていましたが、たっくんは、どんどんいやな気持ちになっていきます。
たっくんが、勇気をふりしっぼって言った「えっちゃん、いたいから やめて。」という言葉を聞くまで、えっちゃんは、たっくんといっしょに楽しく遊んでいるものと思っていました。
こんな風に、さわられる側の気持ちがないがしろにされてしまうことは、子ども同士の世界だけでなく、大人と子ども、大人同士の世界でもあることかと思います。
子どもたちには、自分自身のこころとからだを尊重し、まわりのみんなのこころとからだも同じように尊重できる大人になってほしいと願っています。
監修者からのメッセージ
この絵本のきっかけとなった「いのちのおはなし会」が始まったのは今からちょうど20年前になります。おはなし会のねらいは、子ども達がいのちの大切さを知ることと自分のからだを守ることを知ることのふたつです。はまのさんのお力でひとつめのねらいが『すくすく いのち』に、そしてふたつめのねらいがこのたび『さわっても いい?』の絵本になりました。多くの子どもたちに私たちの思いが届くこととなり、うれしい気持ちでいっぱいです。
ところで、この絵本のメッセージのひとつは“プライベートゾーンを守ること”にほかなりませんが、ここには私たちが伝えてきたこと以上に、いのちやからだに対するはまのさんのあたたかい気持ちがたくさん込められているように思います。それは子どもたちが、単に口やお洋服で隠れているところだけをプライベートゾーンとして理解するのではなく、からだのすべてが自分だけの大切なものであるということに気づくこと、そして、プライベートゾーンは自分だけが見たりさわったりしてもよいところで、「いやだ。」と思った時ははっきり「NO!」と自分の意思を伝えてよいこと、人はみなその権利を持っていること、そしてさらに、自分が自分以外のまわりの人やお友だちのプライベートゾーンをふくむからだに触れるときには「さわっても いい?」と相手の気持ちを思いやるやさしさをもつことが大事だというメッセージが伝わってくるからです。
20年前は言葉だけがひとり歩きしていた“プライベートゾーン”ですが、時代と共に私たちの生活に浸透してきました。この絵本を通して、子どもたちが自分のからだを好きになり、自分と同じように相手のこころとからだも大切にできる、そして、大人もそんな子どもたちを育む力になれることを願っています。